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記事No.[ 651 ]

タイトル:ガンプラの『影』

作成日:2004年03月14日

カテゴリ:[Otaku]

コメント:0

先週くらいの岡野キャプテンとこの掲示板の中で出た、ちょっと目ウロコの話。

『プラモの塗装に関しては、筆塗りよりエアブラシの方が初心者向け』
もう少し砕いて言うと、『均一に色を塗るのであれば、エアブラシの方が初心者向け』って事で、あー確かにーそうかもー。

で、そんなこんな事情もあるのか、当世ガンプラ工作の技法でかつてのザク肩ハの字切り並に普及している技法がいわゆるMAX塗りガンプラ工房)である。何だかよーわからん、という方もいらっしゃると思うが、模型雑誌の作例なんか見ると必ず一体はある、強めのグラデーションでシェードを強調してあるアレである。
ストリームベース・ハウトゥビルドガンダム世代の皆様におかれては、まっこと馴染み深いガンプラ工法かと思われるドロドロのドライブラシとか銀チョロとかのウェザリングは、もう最近の若い衆のプラモじゃほとんど見られない。

MAX塗りが流行ったてのは、コツを掴めば(&機材が揃えられれば)それなりにお手軽にカリスマモデラーっぽい(あくまで『ぽい』ね)完成品ができる、てあたりもあるかと思うのだが(実はエアブラシ塗装楽説根拠)やはり今のガンプラモデラーにとってピンとくる表現だ、てことなんだろう。

表現としてのMAX塗りてのを端的に言うと『その立体物の構造では物理的に発生し得ない影を、塗装で書き込む』ってことになるかと思う。模型じゃ一枚の平らな板てことになってるけど、ちょっとデコボコしてると思いねえ、て感じだろうか。
で、これって要は『セルアニメにおけるぐねぐね多段影落しによるメカの質感表現』を立体にトランスレートした方法論なんじゃないか、と思うわけだ。『ガンダム0083』あたりで顕著になったあのへんである。

こういうガンプラにおける『表現』の本質てのは何か、というと『絵でしか存在しない物の縮尺模型』という不条理極まりない物件の不条理具合をどうやって意識させないか、いかに目の前にある模型を何十倍かしたメカニックがどこかにあるように錯覚させるのか、てことになると思うのだ。
その小道具として旧世代はスケールモデルのイメージを、MAX塗り世代はセルのイメージを投影させた。それはとりもなおさず何をリファレンスとしてガンダムを『リアル』と認識しているのか、ということの顕在化である。
シンボライズすれば『丸』のリアルか『NEWTYPE』のリアルか、とでも言うべきか。『NEWTYPE』の?そう。オタクの新世代は、実はもう「アニメそのものから、現実の手を借りずににリアルの認識を組み立てられる」というスキルを有しているのかもしれないのだ。それはたぶん旧世代のオタが持ち得なかったスキルでもある。

ガンプラのMAX塗りの興隆というのは、実はこういう『世界と呼ばれるもの』の認識のシフトの象徴、と捉えることが可能なんではなかろうか。

そろそろ第一世代のオタが若いモンに説教をしたくなるトシになってきたのか、オタク世代史みたいな書物が色々と上梓される(された)ようであるが、そういう話をする時に特に小言を繰り出す世代の方は、モノゴトの認識が若いモンと同じかどうか、という事を常にセルフチェックしながら言うべきだろう、と自戒を込めて思う。

そこをおろそかにすると、たぶん本当に後に残さければいかんことまでこぼれ落ちてしまうから。そして、説教されるほうも、そういう事を確認する習慣はつけておくべきかと。
たぶん説教する側にいつかは座ることになるはずだから。

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