タイトル:白石果鈴さんお誕生日おめでとうございます |
作成日:2005年06月24日 |
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恒例の即興お誕生日SSシリーズです。
まふゆさんと誕生日を取り違えて覚えていたのは姫にはナイショだ。
ということで、いつものとおりたわいないもんですが、よろしければお納めください。
Metamorphosis =Karin=
今日という日の残りはあと3時間ほど。窓から入ってくる風の熱気もやっと冷めた。
だいたい北海道の、しかも北見の気温が日本中のどこよりも高いってどういうことなのよ。絶対なんか間違ってるよねー。
ひょっとしてこれが地球温暖化、ってやつなのかなあ。
あたしは額で乾きかけていた汗を手で拭った。
あまり効きはよくないが、この部屋にも一応エアコンはついている。
ただ、今日のところはあたしはその恩恵にまるであずかれなかった。
なんでかというと、お兄ちゃんがリモコンをどっかにやってしまったからだ。
お前が風邪引くといけないから、とか何でもあたしのせいにするのはズルいよねえ。
だいたいそんなこと言いながら自分はビール飲んでソファでさっさと高いびきなんだから。
ああもう、せっかくかけてあげた夏ぶとんが吹っ飛んでる。あたしは床からをふとんを拾って、改めてお兄ちゃんの体にかけなおした。
そんなことをしたらまた汗がにじむ。あたしはまた、額を拭う。
うーん
ちょとだけ軽くなった髪の毛の感触が、まだしっくりこない。ここまでするの久しぶりだからなあ。
PCからメールの着信音が鳴った。
あ、ブログのコメントか。えーっと……「ふられたんですか?(w」
ぶー。ざんねんでしたー。
美容院の帰りに会った友達にもそう言われたなー。
それくらいならいいんだけど、お兄ちゃんなんかこっそり電話で確認してたみたい。もー、はずかしいったらありゃしない。
そんなんじゃないですよーだ。
あたしは引き出しの鍵を開け、きれいにラッピングされた小箱を取り出した。そして、そっと開く。
中にはシルバーのネックレスがひとつ。
昨日、あたしの誕生日に届いた、あたしの一番……うーん、お兄ちゃんと同率1位かな?ともかく、すごく大切な人からの贈り物だ。
あたしはネックレスを手に取り、首に巻く。そして、机の上の鏡を覗く。
……ちょっといまいちだったかな。美容師さんにあんまりうまく希望を伝えられなかったもんなあ。
でも、前よりはいいよね。うん。きっとそうだ。そう信じよう。
さて、っと。
あたしは携帯電話を開け、自分にレンズを向け、かしゃり、とシャッターを押した。
うんうん。よく撮れてる。……いいの!撮れてるんだから!
と、自分の心の声をどやしつけつつ、あたしはメールを打ち始める。
東京のお兄ちゃん、すてきなプレゼントありがとう。
大事にするね。
すっごい落ち着いたデザインだよね。
なんかまたちょっと大人になったみたいで
すっごくうれしい。
あんまりうれしいから、つけたところ写真に
撮ってメールしちゃうね!
どうかな、似合うかな。
答えはメールのお返事…じゃなくて
次にあった時に直接聞かせてね。
じゃあね。
あたしは送信ボタンを押した。切った髪の事は書かなかった。
きっとあなたは気にするから。
あなたの贈り物が似合うようにした、なんて言ったらね。
あなたはきっと、あたしがまたひとつ、大人になったことを喜んで、そしてお祝いしてくれてるんだよね。
あたしはそれにこたえなきゃいけない。そう思う。
だから
髪型を変えたことは言わない。
あたしが言わなくても、きっとあなたは気付いて、そして……
こらこら、そこで疑ってどうする。うん。
……
はい。白石です。あ、お兄ちゃん?メール見てくれたんだ。
……ありがとう!お兄ちゃんならきっとそう言ってくれると思ったんだ!
うん?
うーん……切った髪の分、背伸びるかなあ、なんて思って。
ぶー。
……あれ?
「ちゃん」つけるのやめてくれたんだ。
そっか……
「果鈴」
あの人があたしを呼ぶ。
切った髪の分、そして彼の声の分、あたしはまた階段を上った。
あなたがいる場所に向かって。
Happy Birthday My Dear……