タイトル:Ole! Kita-!!!!! Ver.5 |
作成日:2004年12月29日 |
カテゴリ:[Kita-he] |
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30日東地区 Oブロック 54a
http://orekita.hp.infoseek.co.jp/(公式)
何回かお知らせしましたが、今回は原稿を2ページほど書かせて頂いておりますので、何卒よしなに。
だけではなんなんで、支援、というわけではありませんが今回寄稿させていただいた作品とリンクするSSを即興で書いてみました。お買い上げの際はよろしければ合わせてお楽しみ下さいませ。
Ole! Kita 連動SS:Transfer =Akari=
俺は夢を見ていた。
今、そばにいるはずのひとと、どこかを歩いている。
その時、今はもういないはずのひとの声がする。
「おおい、おめえら2人っきりでどこ行くつもりなんだい」
俺は…俺は明理を…
明理を、どうするんだろう。そこから先が出てこない。声を出そうとすると喉に何かが詰まる。俺は…オレは…
一瞬の轟音。スイッチみたいに世界が切り替わる。視界に入ってきたのは特急列車の車窓と、その向こうを猛スピードで駆け抜けていく対向列車だった。
「目、覚めました?」
音が通り過ぎると、隣から女の子の声がした。
「あ…寝ちゃってたのか。ごめん」
俺はその声の主、原田明理に応えた。
「うふふ。汽車って眠くなっちゃいますもんね。でも…ビール飲みすぎですよ。はい」
明理はそう言うとお茶のペットボトルを差し出した。俺はそれを一口含む。心地よい冷たさと苦味が、意識を完全に起してくれた。
「はは。そうかもね。車じゃないとついついね」
「ほどほどにしてくださいね。お酒は」
「はいはい」
そう言いつつ俺はもう一度車窓の外に目を移した。外には浅い春を迎えたばかりの北海道が広がる。先日までこの大地を覆っていた白いものたちはほとんどが大地へと還り、地上にはほんの少しの名残を留めるばかりだった。
瞳がふたつ、窓に映る。明理は俺の肩越しに、流れていく風景をじっと見つめていた。
「席、代わる?」
「いえ、いいです…そっちに座ったらなんだか泣いちゃいそうで…」
「やっぱり名残惜しい?」
「はい…」
「でも、よく決心したね。東京に出るって」
「ずいぶん迷いましたけど、本格的に東京で修行できるチャンスなんてそうそうなさそうだし、それに」
「それに?」
明理は目をそらし顔を伏せる。
「あなたと…あ、いえっ!なななんでもないです」
髪の間から覗く耳が真っ赤になっているのが見えた。
「そういえば」
明理が自分の熱で溶けてしまわないうちに、と俺は話を振る。
「こないだ送ったおみやげ、おばさん喜んでくれてた?」
「あ、はい。こっちではあんまり見ない東京のお菓子ですから、すごく」
「そっか。よかった。今回の引越しじゃずいぶんお世話になったからね」
「ほんとに。それに、しばらくお母さんとお父さんを預かってもらうし…」
「そっか…置いてきたんだっけ、ご位牌」
「はい…あなたの言ったとおり、持って来ようかとも思ったんですけど、やっぱり…」
ふ、と先ほどの夢が頭をよぎる。
「いつか…」
「いつか?」
明理はそこで口ごもる。まるで自分の口から飛び出すなにかを恐れるように。
「…」
そうか。何も迷う事はなかったんだ。あのダイヤモンドダストに、あのハルニレの樹に、俺自身が誓った事じゃないか。
明理の答えを待たず、車内のアナウンスが次の停車駅が近いことを告げる。俺たちはそこで乗り換える。そしてひと駅。そこはもう空港だ。
「あ、そろそろ準備しないと」
「そうだね」
俺は手荷物を、網棚から下ろす。
「いよいよ北海道ともお別れですね」
自分の荷物を受け取りながら、明理はまた流れる車窓に目をやった。線路脇の建物の影が、明理の横顔に落ちる。俺は小さな深呼吸をして、そして言った。
「ま、しばらくのことだからね」
「え?」
「ちゃんと明理と俺が一人前になったら、お父さんとお母さんを迎えに来よう。そして」
「…」
「また、帯広に住もうよ」
「!」
明理の目が見開かれる。
「でも…それじゃ、あなたが」
「だめかな?」
「……いいえ…ぜんぜん…」
明理が微笑んだ。目の端に小さなきらめきが確かに見えた。
列車が駅に入るための減速を始める。俺たちは席を立ち、そして肩を並べてデッキに立った。窓の風景は断ち切られたように不意に、駅のプラットフォームを映し出し。そして、すぐに静止した。ドアが開く。外気が流れ込んできた。
その冷たさに、俺はちょっとだけ目をすぼめる。
「…行きましょう」
そんな俺の手を、柔らかい温もりが包む。
「わかった…」
俺たちは踏み出した。先へ進むために。
旅立つために。
※管理人のレスは遅れ気味です。どうかひとつ気長にお待ちください。